紹興酒の代用はない
当サイトでは以前、「中華料理を作るときに紹興酒は必要?」という記事を書きました。
紹興酒を使うと、家庭の中華料理が大人向きの奥深い味にはなりますが、日本酒や料理酒でも十分代用できるという結論でした。
あれから約2年。
今や、当サイト管理人の家では、紹興酒は日本酒や料理酒では決して代用できない、中華料理を作るときに欠かせない調味料になってしまいました(笑)。
当時の記事とは真逆の結論になってしまい、申し訳ありません。
というのも、約2年間、中華料理を作るときに紹興酒を使ってみて、やっぱり紹興酒は日本酒や料理酒とはぜんぜん違うということがわかってきました。
紹興酒の役割は香り付け
もちろん代用できる部分もありますけど、決定的に違うのは、特有の良い香りを料理に付ける、つまり、香り付けという使い方。
これだけは、日本酒や料理酒では決してまねできません。
たとえば、炒飯の仕上げのタイミングで、熱々の鍋肌から紹興酒を小さじ1杯ていど回し入れてかきまぜるだけで、アルコール分は飛んで、紹興酒の良い香りだけが加わり、家庭で作る炒飯とは別物の、お店で食べる味に近づきます。
麻婆豆腐も、ミンチ肉がパラパラに炒め上がったタイミングで、紹興酒を小さじ1杯ていど入れてさらに炒めると、より本格的な味になります。
とにかく、炒める作業の仕上げに紹興酒をほんの少し入れるだけで、独特の香り効果で家庭の中華料理がワンランクアップするので、使わないと損です。
生臭み消しや肉をやわらかくする効果も
また、牛肉や豚肉、鶏肉、そしてイカやエビなどの魚介類に下味を付けるときも、紹興酒を小さじ1/2~1杯ていど入れるだけで、生臭さが瞬時に消えて良い香りになるので、幸せな気分で下味付け作業ができます(笑)。
紹興酒は、日本酒以上にうまみ成分(各種アミノ酸)が豊富らしいので、香りだけでなく、うまみを加える効果もより期待できます。
我が家では、餃子の餡を作る時にも入れています。
また、一般的なお酒同様、お肉をやわらかくする効果もあるので、唐揚げの仕込みの段階で紹興酒を加えると、はっきり違いがわかるくらい、やわらかい唐揚げになります。
変なたとえかもしれませんが、ニンニクがなくても中華料理は作れますけど、ニンニクが入っているのといないのでは味や風味が大きく変わるように、紹興酒がなくても困るわけではありませんが、紹興酒があると料理の仕上がりが大きく変わります。
家庭なら、1回の料理に使う量はせいぜい小さじ1/2~数杯ていどで、1本買えばかなり長持ちするので、中華料理をよく作るご家庭なら、オイスターソースや豆板醤同様、家庭に1本常備しておくことをおすすめします。
紹興酒どこで買える?
で、料理に使う紹興酒はどこで買えるかですが、一番手に入れやすいのは、スーパーのお酒コーナーです。
残念ながら、紹興酒は日本の家庭ではまだなじみがないので、1銘柄しか置いてないこともよくありますけど、どこのスーパーでもよく見かけるのが、宝酒造の「塔牌(とうはい)」という紹興酒です。
塔牌にも熟成期間や容量別にいくつか種類がありますけど、お酒コーナーにおいてあるものを買っておけば、まず間違いないと思います。
ちなみに、管理人はまだ使ってみたことはありませんけど、宝酒造からは、食塩無添加でうまみ成分が飲用よりも豊富な、「料理のための紹興酒」という製品も発売されています。
料理用紹興酒は熟成期間で選ぶ
また、やまやなどの酒販店チェーンに行くと、いくつもの銘柄の紹興酒が置いてあります。
銘柄がいくつもあると、どれを選んだらよいのか迷うところですが、料理用の紹興酒は飲んで味わうわけではないので、お店にある一番安くて量が多い、つまりお値打ちな紹興酒で十分だと思います。
ちなみに紹興酒と呼べるのは、中国浙江省紹興の醸造所で製造されたものだけらしいので、ふつうに酒屋さんで販売されているものは、どれも本物の紹興酒と思って間違いないと思います。
紹興酒は長期熟成酒なので、瓶のラベルに「陳何年」と熟成年数が明記されていますが、その中でも、陳三年から陳五年までの熟成期間が短い紹興酒だと、600mlくらいの瓶で千円未満で買えるので、料理向きです。
それでも、どれを選べばいいか分からないときは、宝酒造の「塔牌」もそうですが、キリンビール系列の永昌源の「古越龍山」や、サントリーの「会稽山」といった、日本の大手酒造メーカーが中国浙江省紹興から輸入販売している銘柄なら安心だと思います。
量的には少し割高になりますけど、永昌源の古越龍山金龍の小瓶180ml(税別297円)は特に香りがよく、手頃な値段で買えて使い切りやすいので、管理人は気に入って使っています。
管理人は超下戸なので飲んだことはありませんけど、口に含んでみた限りでは、古越龍山金龍くらいの紹興酒だと、料理だけでなく、飲んでも十分美味しいのではないかと思います。
紹興酒の認定マークを目安に
また、やまやなどの酒販店には、日本の大手酒造メーカーではない輸入会社が中国から輸入した、激安の紹興酒もあります。
たとえば、この記事を書いている時点で管理人が使っている「宇塔」という銘柄の陳3年紹興酒は、やまやで640ml瓶入りが349円(税抜)だったかな?くらいで買ったものです。
日本の大手酒造メーカーの紹興酒の約半値という安さ。
たしかに古越龍山金龍などとくらべると、多少酸味が強いなど、価格なりの味わいですが、料理に使うぶんには全然問題ありません。
ちなみに、ラベルの部分を見ると、真ん中に中国の地図のマークがあって、わかりにくいですが、うっすらと「PGI」と書かれています。
塔牌のサイトによると、これは中国政府が品質の確かな紹興酒にのみ認定して発行している、「中華人民共和国原産地域産品」マークというもので、このマークがあれば安心して購入できるということらしいです。
安い紹興酒に不安を感じる方は、このマークが付いているか確認してみるとよいと思います。
ちなみに、PGIとは「地理的表示保護(Protected geographical indication)」の略だそうです。
最後に、永昌源がYouTubeにアップしている、紹興酒を使った肉もやし炒めのレシピ動画があったので貼っておきます。
動画ほど多量の紹興酒を加える必要はないと思いますが、小さじ1杯ていどで十分に中華料理が美味しくなるので、ぜひ炒めものの仕上げに紹興酒を使ってみてください。